額にボトックス

こんな報告が,第14回日本発汗学会総会の中でありました.
「ボツリヌス毒素により治療した顔面多汗症の1例」

演者は愛知医大・第2生理の岩瀬敏先生.
私が昔,名古屋大学で(共同研究者として)お世話になった先生だ.
先生のご専門はマイクロニューログラフィ.
皮膚の交感神経束に直接電極を刺入し,その活動による電位変化を採る.
発汗と血管収縮に関連する活動電位を拾い,両者の関係を明確化する.
そんな難しい研究をされている先生なのだが,
実際には,大学病院で臨床現場を持ち,多汗症患者の治療にもあたるという.

顔面多汗を訴える患者さんに対し,
その額にボトックスを皮下注射し,発汗抑制を試みたという報告.
前額部,髪の生え際にボトックス.
注射したのは9ヶ所.なんだかとっても痛そうです..^^;

これだけで,顔面多汗が軽度に抑えられたとのこと.
顔面多汗で気になるのは額から顔面に垂れる汗.
こいつを抑えてやることで,ある程度の不快感はなくなるはず..
そういう理由からの,前額部のみへの施術なのだ.

ご報告いただいた症例は,注射前にはみられなかった体幹部の発汗が現れ,
顔と同程度に汗をかくようになったという.
暑くても汗をかくのはほとんど顔だけ..
そんな患者さんの汗が,ボトックス注射によりうまく分散されたとでもいおうか.

以前,額の汗はラジエータだというお話をしました.
この現象について発表後に問われた岩瀬先生.
顔汗で脳が十分に冷やされていたために,他からの汗は出なかったのだろう.
それに対し,顔汗を少し抑えたことで放熱効果が下がり,
上半身からも適当量の汗がでるようになったのではないかと推測された.
いままでなかった体幹部の汗は気にならない.
それよりも顔汗が減ったことに喜びを感ずるとは,患者さんの感想だ.

これまた斬新な汗止め法ですね.

額,顔面にボトックス..ってことで,ギョッとした私ですが,
実は保険治療の認められている疾患は眼瞼痙攣や顔面痙攣.
元々,顔に注射しているものなのでした.
顔汗で困る.汗で化粧が崩れる.人に会わせる顔がない...
お悩みの方.
ただし,名古屋近郊の方.
こんな治療法を試みておられる施設もあるということを知っておくと,
気持ちが楽になるかもしれません.


※汗関連情報は「ゆう星☆汗の輪」へどうぞ.

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